あの月が丸くなるまで

 耳元と、そして背後からリアルな音声が聞こえて、私は振り向いた。

 そこには。

「よ」

「上……坂……」

 通話を終了させて、ドアの横に立っていた上坂が、ゆっくりと近づいてくる。

「久しぶり」

 上坂だ。

 私は、いきなり現れた上坂に、呆然と立ち尽くす。


 ジーンズにTシャツ、ジャケットを羽織った上坂が、高校生の時よりずっと落ち着いた雰囲気を伴って、そこにいた。


  ☆