あの月が丸くなるまで

「見事な上腕二頭筋ね」

「……薬学部らしい感心の仕方だな。こういうの、解剖とかしてみたい?」

「それは医学部。でも、これほど見事な筋肉だと、そそられるわね」

 話しながら、私はその腕の筋をなぞってみる。この筋がこー通ってここにつながって……

 薬学部では確かに解剖はしないけれど、人体には興味ある。ここまで発達した筋肉を間近で見るのは初めてだったから、ついまじまじと見てしまった。どこになにがあるか、すごくわかりやすい。

「梶原くらいなら簡単に持ち上げられるぞ」

 言いながら、仁田は私の首に腕を回してきた。


「ちょ……苦しいって」

 すると仁田は、そのままの姿勢で私の耳元でこそっと囁いた。