あの月が丸くなるまで

「すげえむかついた。自分の中に、そんな気持ちを感じたのも初めてだった。……細い腕。こんな風に、お前の心も捕まえておくことができればいいのに……なあ、美希。俺、どうしたらいい? どうしたら、俺の気持ち、信じてくれる?」

 違う。上坂の気持ちが、信じられないわけじゃない。

 信じられないのは……

「私は……」

「ぎゃっっ!?」

 いきなり上坂が叫ぶと、その身体が浮いてベンチから転げ落ちた。



「うちの大事な妹になにしてんだよ、てめえ!」

 ぽかんとする私の耳に、聞いたことのある怒鳴り声。

 起き上がってみると、拓兄が息をきらして立っていた。上坂は、おなかを抑えたまま転がって呻いている。どうやら、ベンチの向こう側から蹴飛ばされたらしい。