そんな希歩を見ると、優輝も胸がいっぱいになって来た。



 そのままそっと、優輝は希歩の唇にキスをした…。


 唇が重なると、体から想いが溢れてくるのを希歩は感じた。


 素直にギュッと優輝にしがみ付き、求めるままに唇を吸い上げてゆく希歩…。

 優輝も求めるままに希歩の唇を吸い上げ、口の中までいっぱいに愛を注ぎ込んだ。

 息継ぎも惜しむくらい…。

 1秒たりとも離れたくない…。

 愛し合うキスの音が静かに響いている…。


「希歩…」

 両頬に優輝の手が暖かく覆ってれる感覚が心地よくて、希歩も優輝の両頬に手を添える…。

 添えられた希歩の手はちょっと緊張しているのか、ひんやりしていたが、ほてっている優輝の頬にはちょうどよく気持ちよかった。


 キスが深くなり、希歩は無意識のうちに優輝のパジャマを脱がせて行った…。


 がっしりした逞しい優輝の体は、昔のままでとても懐かしくその体に触れると、溢れんばかりの喜びを感じる希歩…。

 喜びと共に唇を優輝の体に這わせてゆく希歩…。


 

 そのままベッドにそっと押し倒されて…。


 希歩のパジャマのボタンに優輝の手がかかった。


「待って…」

 ギュッと、優輝の手を握って希歩が動きを止めた。


「どうして止めるの? 」


 尋ねられると、希歩は泣きそうな顔をした。


「…だって…私、10年前とは違うもの…」

「え? 」

「…私も年を取ったし…子供だって産んでいるから…」


 止める希歩の手が震えているのを感じて、優輝はぎゅっと希歩に覆いかぶさった。


「何を言い出すの? それは、僕だって同じだよ」


 スーッと、希歩の首筋を指でなぞる優輝。


「キスの感覚、昔よりずっと良かったよ。今こうして、抱きしめていても伝わってくるよ…」


 そう言いながら、優輝はそっと希歩のパジャマのボタンを外してゆく…。