数秒の間があった。

指導室の外の世界の音はまるで消えてしまっている。
ほんのわずかな静寂で、私は不安になった。


「その

だととも

だちになってく

れ」


日本語だっていうのに
まったく意味がわからなかった。

まっったく想像していないことだと、
こんなに理解できないのか。

私が、知らない外国語を聞いたように、
きょとん、としているのを見て、
不思議そうに先生はもう一度、
同じ言葉を言った。


「園田と友達になってくれ」


園田?
園田さん?

先生のお願いごとに私は頭が真っ白になっていた。

一瞬だったが、
産まれて初めて気絶を体験してしまう。

初めて(気絶させられた)の相手が先生でよかった…とは、
まだ冗談でも言えない、
私にとってすごく難しいお願いを受けてしまった。