あの日僕はあなたを忘れた————







2017年4月26日


僕は今、僕の大嫌いな“春”の夜風の匂いに包まれている。


夜が好きだ。
哀切で悲哀な僕も、光に当てられて輝いてしまうような涙も、吐き出したなんとなく寂しい言葉でさえも、僕の愛してやまない夜はすべてを包んで隠してくれる。
そんな気がして、もうずっと、ずっと昔から僕は夜が好きだ。

風だって好きだ。
僕の憂い顔も、ふと出た嘆息も、価値のない落涙でさえも、風はすべて吹き飛ばして僕の見る世界を透明にしてくれる。

だから僕は、外へ出る。夜風に当たることで、救いようのない自分を救ってあげている気でいる。




だけど、“春”の夜風は特別だ。


僕は“春”が嫌いだ。


僕は“春”を恨んでいる。





僕は、“春”を愛せない————