「なに笑ってんの?」

口元を緩めた私に絢人が言う。




「遥くんは昔から優しかったなって思って」


ケーキを頬張りなから言うと


「俺も依良には優しくしてきたつもりなんだけどな」


と僅かに瞳を揺らした気がした。

その瞳がなんだか凄く辛そうで、違和感を覚えたけれど


「絢人?」


「ん?」


返事をしながらケーキを食べる絢人はいつもと変わらなくて、気のせいだと思うことにしたんだ。




「絢人も昔から優しかったよ?」


絢人の瞳を見ながら言うと絢人は驚いた様に私を見た。