それから授業が全て終わり絢人と一緒に帰る。
車の中で家においでと言われたからそのまま二人で絢人の家に向かう事にした。
「もっとあっちに座ってよ」
「なんで?そんなに近くないよ」
家に着くと絢人の部屋に案内されて黒い革のソファーに座ったのはいいけどなんせ距離が近い。
まあ毎回このやり取りをして結局絢人の望み通り、絢人が私の腰に手を回せる位の距離になるんだけど。
「どうぞ、」
そんなやり取りを横目に榊原さんが紅茶とケーキをテーブルに置いてくれた。
「ありがとうございます」
「いえ。ごゆっくりお過ごしください、それでは失礼します」
丁寧に頭を下げた榊原さんはそう言って部屋を出ていく。
それを見届けてから出されたケーキに目を落とすと、
「これ、私の好きなお店の…」
私が好きなお店のショートケーキだった。
「昨日買っといたの。依良好きでしょ?」
「……うんっ、嬉しい!ありがとう」
甘い笑みを私に向ける絢人に満面の笑みで言った。



