「今度俺の弁当も作ってきてよ」
「嫌だよ」
ウインナーを食べた絢人が言った事に即座にお断りを入れる。
「なんで?」
「なんでって、絢人普通に不味いとか言うでしょ?」
そう、絢人は今までに何回も私の作ったお菓子や料理を不味いと言ってきた。
もちろん美味しいと喜んでくれることも多いけど。
「だって依良の本当に不味い時あるよ?率直に言ってやってるんだから感謝しなよ」
「なにその言い方!」
悪びれもせずに偉そうに言う絢人にイライラが募る。
嫌な人は嫌なんだから。男の人と女の人の考えの違いなのかもしれないけど。
「将来お嫁さんとかにそんな事言ったらダメだよ」
私がそう忠告すると絢人はムッとした様に顔をしかめて
「依良にだから言ってるんだけど」
なんて事を言った。
それは私になら何言っても良いって事?
そう言えばついこの前も
「遥くんに作ったクッキー勝手に食べたくせに美味しくないって言ったでしょ」
「他の男に作ったのなんか美味しい訳ないじゃん」
「なにそれ」
「俺だけの為に作ってくれたものなら何だって美味しいのに」
「意味わかんないよ」
絢人の為に作ったとしても美味しくないものは美味しくないんじゃないの?
私が首を傾げて考えているとふっと笑った絢人は
「依良にわかる訳ないよな。ほら、プリン食べるんでしょ?」
と蓋を開けたプリンとプラスチックのスプーンを差し出してくれた。



