「じゃあ、あーん」


交換すると言った私に笑った絢人はまるで昨日の遥くんの様に口を開けて待っている。

さすが兄弟、考える事も、その表情もそっくりだ。


だけど遥くんと絢人は違う。




「自分で食べてよ、はい」

そう言って箸を絢人に渡すけれど絢人は受け取ってくれない。




「食べさせてくんないんじゃプリンあげない」

「…甘えんぼうだよ」

「依良ほどじゃないよ」

「………、」

「ほら、早く」


急かすように絢人は腰を屈めて上目遣いで私を見る。


しょうがないなぁ…。



「はい、」

私は箸でタコさんウインナーを摘まみ、絢人の口へと運ぶ。


嬉しそうに目を細めた絢人はそれを素直に受け入れ、口をモグモグとさせた。




「ん、うまい」

「ありがとう」

本当に美味しそうにそう言ってくれた絢人に笑った。

タコさんウインナーなんて作るのは簡単だけど、自分で作ったものを美味しいと言われて嬉しくないわけないしね。