「ダメ、お気に入りだもん」
指さした絢人にそう言った。
子どもっぽいかもしれないけど、こういうものがお弁当の中に入ってると気分が上がるんだ。
「二つあるんだからいいじゃん」
「そういう事じゃないの」
それにさっき一つ食べちゃったからもう残りは一つしかないし…。
嫌だと言う私に絢人はわかったと言い、あるものを私に見せた。
「それっ…」
「これと交換ってのはどう?」
もう私の出す答えがわかってるかの様にニヤリと笑う絢人。
悔しいけど、今回は絢人の策にハマった。
だって絢人が手に持っているのは、一日限定30個のプリン。
購買でしか買えなくて、この学校では人気で手に入りにくい。
お金持ちで舌の肥えた生徒達に人気のプリンなんだ。
私はまだ食べたことがないけど、きっと美味しいに決まってる。
「交換する……」
そんなものを出されたらそう言うしかないじゃないか。