「依良、どうしたの?」

頭の上から遥くんの優しい声がする。




「わかんない…けど、すごく怖かったの…」

「怖い?」

「遥くんの顔が見えなくて、遠くに行っちゃいそうでっ…」


更に強く遥くんのジャケットを握りしめると遥くんは「馬鹿だね」と笑い、





「俺は依良のそばに居るよ」




優しい、蕩けたしまいそうな声で遥くんはそう言った。