「食べてもいいの？」

もう見てたことがバレてるならザッハトルテも食べたい。

私が聞くと遥くんはフォークで一口、ザッハトルテを切り取った。




「はい、」

そしてチョコフォンデュの時のようにそのフォークを私の口へと運んでくれた。

艶々と光るチョコレートがなんとも美味しそうだ。





「ん、美味しい」

差し出されたザッハトルテをパクっと食べるとこれまた美味しかった。




「依良のも一口ちょうだい」

私がザッハトルテをモグモグと味わっていると遥くんが私のチョコレートケーキを指差した。


「うん、どうぞ」

私はそれに頷いてさっきの遥くんと同じ様にケーキを一口サイズに切り取り、ケーキを乗せたフォークを遥くんに差し出した。




差し出したケーキを口にしようと伏し目がちになった遥くんは何だか色っぽくて、大人に見えて、

ドキドキした。




それになんかケーキを食べさせ合うって結婚式とかでよくやるファーストバイトみたい…。


そんなこと思うなんて遥くんからしたら迷惑だろうし想像するのも恥ずかしいけど…