車が止まっている所まで行くと前園さんがドアを開けてくれた。
それにお礼を言って車に乗り込んだ。
流れる景色はもうすっかり暗くなっていて、静かな車に揺られている事もあってか私は段々眠気に襲われてきた。
「依良、眠い?」
隣に座っている絢人が目を擦る私の手を目からさりげなく離し、そう言った。
「うん…、」
寝ない様にと頑張っても眠気には勝てない。
「寝てていいよ」
隣で聞こえる心地良い絢人の声に私はゆっくりと目を閉じた。
「絢人、ありがとう…」
元気がないことに気づいてくれて、
今日遊びに誘ってくれて、
私のままでいいって言ってくれて。
すごくすごく嬉しかったよ。
そう最後まで伝える事が出来ずに私はそのまま夢の世界へと意識を手放した。



