「ただでさえ手の届かない人なのに…
絶対に乗り越えられない壁があって…、」
昨日の事を思い出したらまた苦しくなってきた。
「自分に自信がなくて、もっと素敵な人になりたくて…、大人になりたいよ…。
だけどそんな事思う自分は子どもなんだって思い知らされて……こんな自分嫌だよ……。」
ジワジワと目の縁に涙か溜まっていく。
そんな私に絢人は優しく笑ってくれた。
「恋すると皆苦しいんだよ」
と。
「でもその苦しさの先に幸せを掴んだ人もいっぱいいる」
「先に…?」
「そう」
深く頷いた絢人は何だか力強くて。
絢人の言葉に素直に頷いたい気持ちはあるけどまだ素直にそうだって頷く事は出来ない。
ソッと目を伏せるとそんな私の様子を見た絢人は
さっきまでの真剣な表情を一変させていつもの様に甘く微笑んだ。
「それに俺は依良が依良じゃなくなったら嫌だよ」
そう言って。



