「この机に置いておけばいい訳?」
「うん、そこで大丈夫だと思うよ」
数学資料室に着き、絢人と一緒に手に持っていた紙の束を机の上に置いた。
「絢人、手伝ってくれてありがっ、」
今度こそ絢人の目を見てお礼を言おうとした私の唇に絢人の人差し指が当てられた。
「お礼はいらねえよ、帰りデートしてもらうから」
そう言うと絢人はニヤリと私を見て笑った。
「デート…?」
「そう。帰りどっか寄って行こう」
「えー…」
「なに、嫌なの?」
別に嫌な訳じゃない。
絢人はわざと“デート”って言葉を使ったけど、普段絢人と帰りにどっかに寄ったりするのは普通の事で…
だけど何だか今日は遊んで帰るような気分じゃない。
まだ昨日の事でモヤモヤしてるから…。
思い出したらまた切なくなって黙って目を伏せた。
「よーりっ!」
そんな私に合わせるように絢人が屈んで私の顔を覗きこんできた。



