インナモラート 【完】



依良は覚えているだろうか。


あれは確か小学校低学年の時、依良が本を読んでいてその本を横から覗いてみたんだ。


その本はよくあるおとぎ話で、何でもない女の子が王子様に見初められて二人は幸せに暮らすというストーリー。






『絢人、この絵本に出てくるナイトって絢人に似てるね』

暫くその本を一緒に読んでいるとふと、依良が俺の方を見ながらそう言った。


『ナイト?』

『うんっ!このお姫様を守るナイト!強くて格好良いんだよ』

ニコニコしながらそう言う依良に、浮かれる自分と落胆する自分とがいた。



『何でナイト?俺は王子様じゃないの?』

拗ねる様に依良を覗き見ると依良はその大きな瞳で二回、瞬きをした。



『絢人はナイトだよ?』