「依良」

遥くんの手がソッと私の頬に触れてその温もりにまた泣きそうになった。


だってまだまだ遥くんが私のことを好きなんて実感がないから。




「遥くん…、」

「なに?」

「遥くんは、私のこといつから好きでいてくれた?」


こんな事聞くのは恥ずかしかったけど、本当に不思議だったんだ。

私の事なんて幼馴染みとしてしか見ていないと思ってたから。


だから思いきって聞いてみたら遥くんは少しだけ恥ずかしそうにはにかんでから私の頬を撫でるのを止め、教えてくれた。





「いつ、っていうのはわからない」

「…………」

「でもいつの間にか…気づいたら依良のことを好きになってた」

「いつの間にか?」

「近所の可愛い幼馴染みだと思ってたのにね。いつの間にか、」

「…………」


そう言いながらスッと目を細めた遥くんは昔を懐かしんでいる様にも見え、目を細めたその仕草が、切なさを感じさせた。



もしかしたら…、私が年上の遥くんを好きになって大きすぎる壁だと思ってた“年の差”を遥くんも壁として感じていたのかもしれない。