「…依良、」
顔は見えないけど声で遥くんがすごく戸惑っているのがわかる。
「それ、本当…?」
「…うん」
「依良が俺の事を好きって…」
「本当だよ。私は小さい頃から、初めて会った日からずっと…。ずっとずっとずーっと遥くんが好きだったんだよっ…」
そうだ。私は初めて会ったあの日からずーっと遥くんが、遥くんだけが好きだったんだよ。
遥くんは私の初恋の人なんだから。
「ちゃんと意味…わかってる?」
「わかってるよっ…遥くんこそ、私のこと子どもだと思ってたんじゃないの?妹としてしか見てないんじゃないの?」
私の言葉に遥くんは更に私をギュッと強く抱き締めて、
「そんなわけないでしょ。依良の事、ずっと好きだったよ」
と言ってくれた。
ずっと欲しくて欲しくて仕方なかった言葉。
絶対に聞く事はないと思ってた言葉。
どうしよう…。
ドキドキして、心がギュッてなって嬉しいのに幸せなのに涙が止まらない。
「はる、くん…」
ママ、私は決してお姫様の様な女の子ではないけど、私だけの王子様が現れてくれたよ。
迎えに来てくれたよ。
痛いくらいに私を抱き締める遥くんに答える様に私も遥くんを抱き締め返した。
好きって気持ちをもう隠すことなく、その想いを全てぶつけるように、強く強く抱き締めた。



