「遥、くん…?」


私が言葉を発するよりも先に遥くんの腕が伸びてきたと思えば次の瞬間には私は何故か遥くんの腕の中にいて。

その事に驚く間も、焦る間もなく遥くんの口からは信じられない言葉が聞こえてきた。


その言葉に今度こそ私は驚き、遥くんの腕の中でただ次の言葉を待つ事しか出来ない。


だって自分から何かを聞くにはあまりにも驚きすぎて言葉が出てこないんだ。



「依良、」


「………っ」


遥くんの声がいつもより近くで聞こえてビクッと肩が上がる。

今までだって遥くんと触れ合って来たのに…これはいつもと違う。


ドキドキが抑えられない。


遥くんの抱き締める腕の力が、強い───。