「怖かったわよ」
「………っ」
「怖くないはずないでしょ?」
「…………っうん、」
「式の最中もそれどころじゃなくてね。式の後にパパを呼び出す時も震えてた」
「……そうなの…?」
「怖かったから、不安だったから。振られたらとか色々考えてマイナスな事ばっかり考えてたから。
………でもね、今日、今ここで言わないと絶対にパパと付き合う事は出来ないって自分を奮い起たせたのよ」
「………っ」
「告白しなければこのまま親友でいられる。でもその変わりパパが他の人と付き合うのを見ていかなきゃいけないかもしれない。
でも今告白すればもちろん振られて親友ですらいられなくなるかもしれないけど…0.1%の確率で付き合えるかもしれない。そう考えたの」
「うん…」
「怖くて怖くてどうかしてたのかもしれないけど、その僅かな可能性に賭けた。怖かったけど今言わなきゃ後悔するって私は思ったから」
そう言ったママは一度写真へと目を向けてから私を見た。
「勇気を出して告白しようとしたの。でもね、私が『あなたの事が好きです』の“す”まで言いかけた時パパが『ちょっと待って!あの…、男として俺から言わせて。………俺はあなたの事が好きです』って顔を真っ赤にしながら言ったの」
「………っ!」
「後から聞いた話なんだけどパパも私と同じ事を思っていたらしく卒業式の日に告白するって決めてたんだって。でも私が先に呼び出しちゃったから相当テンパったって」
「だから二人とも同じ卒業式の日に告白しようとしてたんだ…」
「そう。パパってば狡いわよね。あんなに私を悩ませて、“好き”の“す”の字まで言わせて。
あんなに怖い思いをして勇気を出そうとした途端に先を越すんだもの。憎たらしいわよね」
そう言いながらもママは恥ずかしそうに幸せそうに笑っていて。
ママのその表情を見て私まで嬉しくなった。幸せな気分になった。
「羨ましいな、パパとママ」
私がそう言うとママは不思議そうに私を見て、真っ直ぐに私の瞳を捉えた。
「羨ましいって、依良にだってそういう人は現れるわよ?」
と言いながら。



