「事業も進めて寄付までしてって、甘過ぎじゃない?
婚約破棄にしないと共同事業も白紙にするし今後一切栗原とは手を組まないぐらい言えばすぐ終わる話じゃん」


半分冗談、半分本気でそう言うと兄貴も笑った。



「そうできたらどんなに楽か」



そう出来ない事は俺もよくわかっている。




栗原はなんとしてでも共同で事業をしたい。
でも滝川は別にその話を蹴ってもいい。

話を進めれば利益が出るのは確実だがその利益は滝川には無くてもいいのだから。

利益があるならいい。けど、なくてもいい。



そう簡単に言える程、滝川は力を持っている。



だけど兄貴の言う通りそれが出来ないのは




「全部白紙にしたらじいさんの面子丸潰れだもんなぁ」



そういう事だ。