「花咲、」
もう冷めてしまったであろうコーヒーを一口飲んだ柏木くんは、カチャとコーヒーカップをソーサーに戻す。
「こんなお願い図々しいかもしれないけど、これからも友達でいてくれる?」
困った様に笑う柏木くんにまたギュウッと胸が締め付けられた。
「そんなの、当たり前だよっ…」
「断られたらどうしようかと思った」
「断らないよ!」
「うん。良かった。ありがとう」
そう言いながら笑う柏木くん。
だけどその笑顔の裏には悲しみや辛さが隠れている。
私の為に今は無理に笑顔を作ってくれているんだ。
それがわかっているからこそ、私も笑みを絶やさない。
「これからも友達としてよろしくね、花咲」
「よろしく柏木くん」
友達として。