「…………っ」
「でも兄貴も自分の馬鹿さにやっと気づいたみたいよ」
「………?」
「自分の気持ちを大切にする事に決めたみたい」
「………っ」
「だから婚約は断るんだって」
「………うんっ…」
「さっきも言った様に纏まりかけた婚約を破棄にするのは難しい。親しくしてきた栗原とだし。でもね、必死に色んなところ走り回って、頭下げ回って、どうにかしようとしてる」
「………っ」
「今は栗原のじいさんや栗原皐月の両親、栗原皐月本人を絶賛説得中。
栗原も栗原で経営難だから滝川との婚約を手放したくはないだろうけど、それで共同事業の話も無くなったら本当に終わりの始まりだからね。
どうにかなると思う。兄貴が嫌ならって言って父さんやじいさんもそれに協力してる」
「………っ」
「何だかんだ父さんは会社の為に息子を使うのは嫌だったみたいだし、じいさんも渋々って感じだったけど鬼じゃないよ。
まあ、最悪婚約の話も共同事業の話も無くなっても滝川に損失が出ないって事はかなり話を有利に進められる要因だよ。
利益はなくなるけどね」
「……そう、」
遥くんの本意ではない婚約がなくなるって事は嬉しい。
遥くんが会社の犠牲にならなくて済むって事だから。



