「………本当に婚約を破棄になんて出来るの…?」
そう聞くと絢人は一度空を仰ぎ、深く息を吐き出してから教えてくれた。
「元々この婚約は、滝川と栗原での共同事業の話が出たからなんだよ」
「共同事業…?」
「そ。滝川の先代…俺のじいさんと栗原のじいさんは昔から仲が良くてね、今回一緒に事業をしてみようってなって、ならこれからの為にも自分達の孫を婚約させればいいってなったんだ」
「させればって…」
「まあ…お互いの信頼や利益の為にね……。無理にって訳ではないけど、じいさんは結構乗り気で」
「…そんな…」
「…滝川と栗原が婚姻という関係で手を組めば、これからの為になるんだよ。今回だけじゃなくこれからも共同で何か栗原とやっていく為の駒として」
「…………」
「だから兄貴はこの婚約を受けた。自分の気持ちも何もかもを捨てて…」
「遥くんの、気持ち…」
「兄貴だって本当は好きな人と結婚したいに決まってるじゃん」
「…………っ」
「好きな人が居ても居なくても、いつかは愛する人と結婚したいって思うのは当然でしょ?」



