婚約を…破棄…?
真っ白な頭でその意味を必死に考える。
破棄ってことは…遥くんと皐月さんとの婚約は…、結婚は…、……………なくなるってこと?
そんな…そんな…
「そんな嘘言わないで…。笑えないよ」
そんな話、信じられるはずがない。
「嘘じゃないよ、本当」
「…………っ」
「兄貴と栗原皐月の婚約は白紙になろうとしている」
「…………っ」
信じられるはずがない。でも、誰よりも信頼している絢人の言葉を嘘だとも思えない。
「どうして……」
「さあ?ここ数日のうちに兄貴にも心境の変化ってやつがあったんじゃない?」
「そんな…簡単に…」
「簡単じゃないよ、一度纏まりかけた話を白紙にするって事は簡単な事じゃない。相手方に不祥事があったわけでもないし、あっちも納得出来ないだろうしね」
絢人の声が低くなる。
「でもね、滝川と栗原。どちらが上か…何かを決める権限があるかは…滝川にあるんだよ」
それはそうだ。
滝川は…日本トップの家柄。
世界でも有数の企業。
滝川がノーと言えばノーになる。
でも、決まった事を覆すのはいくら滝川でも簡単な事ではない。



