「俺はさ…」
目を伏せていた絢人が私の目を見ながら話出す。
その表情は真剣なのに笑っている。
そんな絢人の言葉を聞き逃すまいと真剣に絢人を見つめ返した。
「俺は、依良の思う様にすればいいと思う」
「私の思う様に…?」
「柏木と付き合っても…兄貴をずっと好きでいても…依良が選んだ事なら俺はそれを応援する」
「絢人…」
「まあ…大事な幼馴染みをポッと出てきた奴に渡すなんてムカつく事この上ないけど、柏木はいい奴だと思うし、依良の事を大切にしてくれるとも思うから依良がそうするって決めたならそれを見守る」
「うん…」
「だけど、依良が兄貴を今も好きならその答えを決めるのは兄貴の気持ちを聞いてからでも遅くないと思うよ」
「遥くんの、気持ちを?」
「そ。兄貴の気持ちをちゃんと知ってから柏木とどうするのか…依良はこれからどうするのかを決めたらいい」
絢人は一体何を言ってるんだろう。
「遥くんの気持ちなんて…」
もうわかってるじゃない。
遥くんには好きな人はいなくて、私をこれから好きになってくれる事もない。
現実はそう甘くなくて、遥くんには皐月さんという決められた人までいる。
だからそう絢人に言ったのに、
「依良は実際に兄貴の口から兄貴の気持ちは聞いてないでしょ?」
絢人はそんなことを言うんだ。



