「絢人…」
いつの間にか屋上に来ていたらしい絢人。
この屋上の扉は開け閉めをする時結構な音量でギィィィ…と音がするのにそれに気づかなかったなんて…。
「ほら」
「わっ…!」
私の隣に来て柵に背を着けた絢人は手に持っていた冷たい何かを私の頬にくっつけた。
「これ……」
「あげる」
「……ありがとう」
冷たい何かの正体は私の好きなイチゴミルクのジュースで、絢人がわざわざ買ってきてくれたのかと思うと嬉しかった。
イチゴミルクを有り難く受け取り飲んでいると絢人が「何かあった?」と聞いてきた。
……やっぱり絢人は何でも気づく。
きっと柏木くんに告白されて遥くんに会った翌日から、私の様子がおかしいことに気づいていたんだと思う。
「そろそろ話聞いてやらないとかなって思ってさ」
優しいんだか意地悪なんだかわからない笑みを浮かべる絢人はそう言ってクシャッと私の頭を撫でた。