私達がソファーに座ってすぐに、コンコンと部屋のドアが叩かれた。
「どうぞ」
遥くんが言うと開かれたドアから優しそうにタレた目に、深く刻まれた皺もまた素敵なお爺さんが現れた。
執事の榊原さん。
長年滝川家に使えているらしく、遥くんや絢人だけじゃなく小さい頃から私にも優しくしてくれている人だ。
「飲み物をお持ちしました、どうぞ」
丁寧に私達の前のテーブルに置かれた二つのカップ。
私にはアッサムを使った紅茶の味わいが濃く香る、ミルクティーを、
遥くんにはブラックコーヒーが注がれている。
「ありがとうございます」
「ありがとう」
「いえ。では失礼します」
私と遥くんがお礼を言うと目尻を下げて優しそうに笑った後榊原さんは部屋を出た。
「いただきます……、美味しい」
出されたミルクティーを喉に流すと、紅茶の濃い味わいとまろやかなミルクの味わいが口に広がり頬が緩んだ。
それを見て軽く微笑んだ遥くんは自分のブラックコーヒーを一口飲んだ。



