「遥くん…」
そう言った自分の声で目が覚めた。
「あ、起きた?」
そう聞いてきたのはベッド横にあるイスに座った絢人。
…やっぱりさっきのは夢だったんだ。
残念なのか良かったのか…。
「体調は?どう?」
「大分良くなったと思う」
寝たからか、身体はさっきよりも随分楽になった。
それにおでこに置かれたタオルは冷たくて、絢人がこまめに変えてくれていたのかもしれない。
それに、手が繋がれたまま。
「ずっと手繋いでてくれたの?」
「依良が離さないから」
「ええ…!?」
それは何だか恥ずかしいなと思っていると絢人がクスクス笑った。
「嘘。タオル変えるときとかは離してたよ。でもそれ以外はずっと繋いでた」
「離してくれても良かったのに…」
看病してもらった上にずっと拘束してたなんて申し訳ない。