兄貴はきっと、誰よりも依良が大切で。


誰よりも依良の事を好いている。


それは俺なんかよりも、ずっと。





「兄貴は依良が好きなんだろ」



気づけばそんな事を言っていた。



それに兄貴は少しの動揺もせずに、ただ真っ直ぐに俺だけを見て言った。






「好きだよ」




その瞳には…声には…


全てを見透かす鋭さと

全てを諦める悲しさと

少しの激しさと情け。


欠片しかない希望───。







馬鹿だよな、兄貴は。


俺に一体何を望んでるって言うんだ。