「今日家来るの?」
並んで階段を降りながら絢人が私に聞く。
「うん」
「俺も家帰ろうかな」
本気か冗談か分からない絢人の発言に絢人の顔を覗くように見た。
「用事あるんでしょ?」
「用事って言っても皆で遊び行くだけだよ」
「絢人がいるから皆来るんじゃないの?」
絢人は男女問わず人気者。
それなのに大抵は放課後も私といるから絢人と皆遊びたくてよく誘われてるのを見る。
「私なんかより皆と過ごしなよ」
紛れもない本心でそう言えば絢人はムッとして眉を寄せた。
「俺は依良と居たい」
女の子なら一瞬で恋に落ちてしまいそうな切なくて愛しげな表情を見せる絢人。
そんな言葉言うなんて、狡いよ。
いきなり紡がれた甘い言葉に、無意識にも頬が染まった。
「可愛いな」
そんな私に絢人はいつものお決まりのセリフを言って笑った。
「ま、今日は兄貴と楽しんで」
一階まで着いた所で絢人はそう不貞腐れるように言った後、下駄箱にいた今日遊ぶであろう男女のグループの所へと向かって行った。



