ふざける絢人とは違う。 抱き締めたり、キスしたりしない絢人と遥くんは違う。 「幼馴染みとしても、そばにいたらダメだった」 だから幼馴染みとして、遠くから遥くんの幸せを願う。 「いいの?それで」 「いいの」 遥くんにさようならを言った瞬間に私の恋も終わりを告げた。 遥くんの事を好きでたまらないけど、それに蓋をした。 「そう」 絢人はそれだけ言って、前を向いた。 ひどく苦しそうな声なのにひどく優しい声だった。