口では幼馴染みでいいと言いながら心では幼馴染みなんて嫌だと思ってた。


それに私の心も、現実も、限界が来る事をわかってた。



私の本心を誰よりも最初に気づいて、理解してたのは私ではなくて絢人だった。




「おかしいんだって、私と遥くんは」


「………」


「幼馴染みにしては距離が近すぎるんだって。それが普通だと思ってたけど違うんだね。よく考えればわかった事なのに…」


その事にもっと早く気づいていたなら私の傷はもう少し浅く済んだかもしれない。

皐月さんを傷つけなかったかもしれない。

遥くんに皐月さんは関係ないなんて言わせなかったかもしれない。





「でも確かに、同じ幼馴染みでも遥くんと絢人では違った」



絢人も遥くんと同じ様に誰にでも優しくて女性の扱い方もわかってるし、私との距離も近いけれど。


例えば絢人の場合、抱きついてくるって事が遥くんの場合抱き締めるだった。


絢人が腰に手を回してもふざけてくっつく事はあっても常にくっつく事はなかった。



遥くんは私が子どもだからそうなってたのかもしれないけど、遥くんの中で私はいつまでも妹の様な存在なのかもしれないけど、端から見ても私は遥くんの妹にしか見えないのかもしれないけど、



実際は血の繋がりのない、ただの幼馴染み。