バタンッ──。



バタバタ……バタンッ──。




そんな音が聞こえるくらい思いっきり玄関の扉を閉めて階段をかけ登り、部屋のドアを閉めた。





「依良!?もう少し静かにしなさい!」



一階からお母さんの怒る声が聞こえたけどそれに返事をする事なくベッドへと倒れ込む。








「うっ……、うぅー…、ふ、」


枕に顔を押し付けて嗚咽を抑える。




遥くん。


遥くん。


遥くん。



好きな人の結婚がこんなにも辛いなんて知らなかった。


政略結婚でもいいと言った遥くんの悲しそうな顔が頭から離れない。

でも、遥くんは結婚するって言ったんだ。
真剣な瞳は、揺るぎない決意を表していた。


所詮部外者の私がやめた方がいいとか言えるはずがない。
最後の賭けも、見事遥くんに砕かれてしまったんだから。