「依良…?どうし、」



ボロボロ泣く私に気づき、ビックリしている絢人が何かを言おうとしたのがわかったけど今は誰にも会いたくない。話したくない。




「……ごめんっ、」


「あ、待てよっ…、依良っ…!」


腕を掴もうとした絢人を振り払ってそのまま階段をかけ降りた。





「依良!」


階段の上から私を呼ぶ絢人の声が聞こえたけどそれを振り切って玄関までを走った。













「依良ちゃん…!?」



玄関まで行くとちょうど通り掛かったお手伝いさんに鉢合わせてしまった。


「依良ちゃん、どうしたの?」


絢人同様、泣く私に気づき驚きに目を見開くお手伝いさん。

だけど今の私には話をする余裕なんてない。


「ごめんなさいっ、お邪魔しました…!」


それだけを何とか告げて大きな玄関を通り抜けた。