インナモラート 【完】





「遥くん離れ、しないとね、そろそろ」



今までいっぱい甘えてきたから、私が甘えてきたから、皐月さんも嫌な気持ちになって、遥くんも間違ってしまったんだ。




「皐月さんの事、幸せにしてあげてね」


「…………」


「遥くんも、幸せになってね」


「…………」



返事をしない遥くんは、とても悲しそうな顔をしている。

無意識にそれに気づかないフリをした。








私と遥くんは二度と会わないなんて出来なくて、それでも今までの様にいる事も出来なくて。





“離れる”


なんて私と遥くんにとったらとても曖昧で、脆いもの。


その意味すら、はっきりしない。





だけど今“さようなら”そう言ったら二度と前の様には戻れなくなる。






「っ私と遥くんの関係は、これから先もずっと幼馴染みだよね…?」



そうだと言われても、違うと言われても、私は傷つく。



「そうだよ」



ほら、またピキッと心にヒビが入った。