インナモラート 【完】




「………もう会わないって事?」



もう会わない。

そうなるのかな、それは嫌だな。でもそうしなければいけないのかな。



どのくらい離れればいいんだろう。


それは期間なのか距離なのか。



もう何もわからない。





「遥くんには皐月さんがいる。私がいたら皐月さんは嫌な気持ちになる」


「そんな事、」


「関係ないって言える?」


強い瞳で遥くんを見た。

私の決意を軽く見ないでほしい。また揺らいでしまうから。



「結婚を選んだなら、遥くんは皐月さんだけを考えるべきだよ。私はただの幼馴染みでしかないんだから」


「………っ」


「私ももう遥くんに甘えないから。遥くんもそんなに心配してくれなくて大丈夫だよ、もう17歳なんだから」



無理矢理笑った私は酷く滑稽だろう。



「だから…、もう気にかけてくれなくて大丈夫だし、子ども扱いもされたくない」



遥くんは私を妹みたいに思ってくれてるから、

小さい頃から可愛がってくれてるから、

そのクセが抜けないんだ。







「…………ごめん、依良」




何に対しての“ごめん”なのか。

わかる事もなければ聞くこともない。


遥くんの答えはもうわかったから。