「遥くんは本当に結婚するの?」
最後にもう一度だけ、聞く。
もしも、もしも。
遥くんが結婚なんてしたくないって言ったら、
政略結婚なんて本当は嫌だって言ったら、
私はどうすれば良いのかわからないけど、何が正しいのかなんてわからないけど、何かが変わる気がする。
良くも悪くも、何かが変わる気がする。
何かが完成される気もするし、何かが壊れる気もする。
「もしもしないって言ったら依良はどうする?」
「え……?」
遥くんの声は挑発してる様にも聞こえるし震えている様にも聞こえる。
「………私は、」
何て言えばいいんだろう。
どうして遥くんはそんな事言うんだろう。
素直な気持ちを言えばいいのかな。
でもそしたら遥くんは困るかな。
「私はっ…、……」
いつもこんな時にばかり、言葉が出てこない。
何を言えばい良いのかわからない。
私はどうしようもない程、自分では何もわからない子どもだ。
「ちょっと聞いてみただけだから、そんな泣きそうな顔しないでよ」
悲しそうに笑った遥くんにこの時、素直な気持ちを言っていたら未来はどうなっていたんだろう。



