ああ、もう訳がわからない。
遥くんは会社の為に婚約して、
遥くんに好きな人はいなくて、
でも皐月さんは遥くんが好きで、
遥くんは本意ではない婚約をしなくちゃいけなくて。
もう、訳がわからない。
何も考えたくない。
遥くんが怖い。
「本当にっ、本当に…、それでいいの?」
こんな事言っても何も変わらない。
変わるはずがない。
「いいよ、どうせ結婚なんてしないと思ってたし」
遥くんは私を喜ばせる天才でもあるけど私を傷つける天才でもある。
苦しい、辛い。
心がグチャグチャで冷静になれない。
遥くんの顔が悲しそうで辛そうでどうしたら良いのかわからない。
「遥くんっ…、」
交わった瞳は息が止まる程綺麗で、濁りがないのに…。
どうしてそんなに……悲しそうなの。



