それから通りを抜けた先に遥くん専属の運転手の人が車で迎えに来てくれてその車に三人で乗り込んだ。
遥くんの家につくとすぐにご飯が食べられる様になっていた。
「この前頂いた食事が高級レストランよりも美味しかったの。だからまた食べたくて来ました」
食事の用意をしてくれている人達にそう語りかける皐月さんに嬉しそうに「ありがとうございます」というお手伝いさん。
食事をする部屋には遥くんと皐月さんと私の三人だけ。
絢人はまだ帰って来ていなかった。
「いただきます」
皐月さんのリクエストらしいビーフストロガノフ。
どれもきっと、こだわりの一流の食材を使っているしレストランの様に美味しいお料理なのに家庭的な温かさのあるお料理は滝川家のお料理の特徴だ。
「依良、美味しい?」
「うん、すごく美味しい」
「後で柏に伝えておくよ」
「うん!」
柏さんとは滝川家のシェフで50代くらいの笑顔の素敵なシェフの中では一番古株の人。
このビーフストロガノフを中心になって作ってくれたのは柏さんなんだろう。
遥くんに笑顔で答えてパクパクと美味しい料理を食べていると突然部屋に鳴り響いた音。
「すいません、電話いいですか?」
「どうぞ」
どうやらそれは遥くんのスマホの着信音らしく皐月さんに断りを入れるとお仕事関係の電話なのか遥くんは部屋を出て行ってしまった。
「…………」
「…………」
皐月さんと二人きりになるのは初めてでどうしたらいいのか分からずに黙々と料理を口に運ぶ。
カチャカチャと、時折食器のぶつかる音がするだけの部屋はとても静かだ。
「ねえ」
口を開いたのは皐月さん。
私は手を止めてテーブルを挟んで向かいに座る皐月さんを見た。



