「栞!?」
「行ってきなよ、依良」
「でも……、」
「私今パパに呼び出されてたまには一緒に食事を取ろうって言われたの。だからもう帰らなくちゃだし」
ね?と首を傾げる栞に何も言えなくなる。
そんな私を見て栞は内緒話をする時みたいに口元に手を添えて私の耳に口を寄せ、
「あの女の人きっと遥架さんの事好きだよ、依良の事すごい顔で見てるもん。でも依良にあんな顔する人には遥架さんと仲良いところ見せてやれっ!」
そう言った。
何も知らない栞の言葉は少しズレてる所もあったけど私の事を思ってくれてる事と普段フワフワしてて可愛いのに強気な事を言う栞に思わず笑みが零れた。
「ありがとう、栞」
皐月さんと居る遥くんを見るのは嫌だけど、遥くんが誘ってくれたんだ。
遥くんと少しでも一緒に居られるんだ。
今の私にはそれしか頭に無かった。
「一緒に行ってもいい?遥くん、皐月さん」
「もちろん」
「遥架さん、依良の事よろしくお願いします。それじゃ、私はもう帰らなくちゃだから依良、また明日ね」
「うん、また明日ね」
可愛い笑顔を浮かべて手を振った栞に私も手を握り返した。



