道路の向かい、それもお店の中にいる私に遥くんは気づく事はなく、そのまま歩を進める。
気づいて───。
咄嗟にそう願った瞬間、ふと、遥くんがこっちを見た。
それはただの偶然かもしれない。
だけど確実に、私と遥くんの目が合った。
そして遥くんの目が僅かに見開かれると遥くんは皐月さんに何かを告げてこっちへと向かって来てくれた。
嘘────。
嬉しさと驚きと戸惑いと、そんな感情が渦巻いている間にも時間は過ぎて気がつくと遥くんがお店の中まで来ていた。
「滝川様!」
いきなり現れた遥くんに店員の人達が慌てて対応をしようとするけどそれを手で制した遥くんは真っ直ぐに私の方へと来た。
「依良!どうしたのこんな所で」
「あ……、栞と一緒に来てて」
「栞ちゃん?」
遥くんは栞を知ってる。
「うん、洋服見たいからって放課後に来たの。遥くんは……どうして…、」
「そっか。俺はたまたま依良の姿が見えたから」
その言葉に深い意味はなくてもどうしても嬉しいと思ってしまう。
私に気づいてくれて、私の所に来てくれた事が嬉しいと思ってしまう。



