「鈍感な依良でもさっきのが告白って事はわかったんだ」
「…………っ」
絢人に馬鹿にするように薄く笑われてパッと絢人から視線を外した。
けれど、
「…………っ、」
「で、何をそんな考えてんの?」
スッと絢人の腕が伸びてきて私の髪の毛を一掬いした。
そして私の髪の毛を愛しそうに撫でると絢人とは思えない程冷たい瞳で私を捉えた。
「気になる?俺が何て返事したか」
「あや、と……」
「依良が気にしてんのはそんな事じゃないか」
瞳は冷たいのに髪の毛を撫でる手は腫れ物を触るみたいに優しくて。
「どうせ兄貴の事考えてるんでしょ?告白したエミちゃんを見て、自分はこれでいいのかって、告白なんて出来ないって、でも兄貴を自分のものにしたいって……」
「…………っ」
「苦しいんでしょ?羨ましいんでしょ?」
「絢人…、」
絢人の言葉は私が思ってる通りの言葉だ。
勇気を出して告白したエミちゃんがすごく格好いい。
私も遥くんに告白したい。でもしたくない。
幼馴染みの関係を壊したくない。
本当は婚約者なんて受け入れられない。
でも私は遥くんと皐月さんを祝福しないといけない。
真っ直ぐに想いを伝えたエミちゃんを見て私はなんて格好悪いのだろうと、自分が嫌になった。
遥くんに好きって言いたい。
でもそれを言ったら遥くんは困るだろう。幼馴染みでも居られなくなるだろう。
言うのが怖い、言いたくない。
幼馴染みでいいって決めたんだから────…。
私は弱虫で臆病者だ。



