それはテストが終わった次の日の事だった。
その日もいつもの様に絢人と帰る。
今日は遥くんも家に居るらしく遥くんのお家にお邪魔する事になっている。
いつも以上にウキウキの私は絢人と並んで下駄箱へと続く階段を下りた。
すると、
「あの子…、」
見覚えのある女の子の姿が私達のクラスの下駄箱の前に立っていて、その女の子は私達に気づくとハッとしたようにこっちへ走ってきた。
「絢人先輩っ」
「エミちゃん?」
走ってきた女の子はやっぱりエミちゃんだった。
「どうしたの?」
絢人が聞くとエミちゃんは途端に顔を赤くさせながら一度目を伏せた。
そして何かを決意したように頷くとクリクリの大きな瞳を絢人へと向けた。
「あのっ、す、少しお話があって…、それで、あの…少しだけ、お時間くれませんかっ?」
赤く染まった頬に緊張からか僅かに潤んだ瞳。
それだけでいくら鈍いと言われる私でもエミちゃんが絢人に何を言いたいのかわかった。
「…………わかった、ちょっと場所移動する?」
「はいっ、」
きっと絢人も“それ”をわかったるんだろう。
エミちゃんにそう言いながら私に“ここで待ってて”という様な視線を向けてきた。
邪魔は出来ない。
絢人に頷くと場所を移動している二人の背中を見つめる。
華奢なはずのエミちゃんの背中が何故か大きく見えた。
がんばれ、エミちゃん。
そう心の中で呟いて私は下駄箱の近くにあるよく生徒達が雑談したりしている造り付けソファーへと腰かけた。
異様に座り心地のいいソファーはお金持ち学校ならではだ。



