インナモラート 【完】



「ん?怒った?」


「怒ってるよ」


「はは、ごめんごめん」


悪いなんて思ってないくせに……!

ヘラヘラと笑う絢人にイライラが募る。





だって、女の子なら食べてる所を見られるのは恥ずかしい訳で…。

ジーッと見てきた挙げ句、顔が面白いなんて言われたら恥ずかしいし怒りもする。




そりゃあ、絢人を気にせずバクバク食べてた私も悪いかもしれないけどさ…。

本当に変な顔してたんだろうけどさ…。

もしかしたら大口開けてたのかもしれないけどさ…。




「女の子に失礼だよ」


「だからごめんって、それに褒めたつもりだったんだけどね」


「どこがっ…」


「女の子が美味しそうに食べてる所って可愛いじゃん、依良なら尚更。そういうこと」


「…………」



なにがそういうこと、だ。

思ってもない事を、サラッと。



「意味わかんない」


「依良が可愛いって事だよ」


「またからかう…」


「別にからかってないけど…。ま、いいや。ほら、弁当食べなよ」



絢人はそう言うと私の持っているお弁当を指差す。



「食べるよ…」


今度は変な顔なんて言われない様にゆっくりチマチマと食べた。


そんな私を見て絢人は面白そうに笑っていた。