それから更に一時間経つ頃には問題集が四ページ進んでいて、躓いていた所の問題も、応用問題も解ける様になった。
「今日はここまでにしとく?」
「待って、あとこの問題だけ……」
解き方がわかる様になるとスラスラシャーペンが進んで、たったの五分程度でテスト範囲の中では一番難しい公式を使う問題も解けた。
「数学はもう完璧じゃん」
「絢人のおかげだよ、ありがとう」
「依良が頑張ったからだよ」
「ううん、絢人のおかげ!わかりやすかったし」
「わかりやすかったらあんなに落ち込む事ないじゃん」
苦笑いをした絢人に首をブンブン横に振って否定する。
「あれはわかりやすい説明をしてくれてたのに私が馬鹿過ぎて理解出来なかっただけ!それにその後もっとわかりやすく説明してくれたでしょ?それからはもうスラスラ解けたよ」
「なら良かったけど」
すごい勢いで否定する私に絢人は笑った。
「本当に絢人のおかげで数学はもう心配ないね」
「テストまでに忘れないでよ」
「そ、そこまで馬鹿じゃないよ」
「依良なら忘れそうな気がするんだけど」
「ちゃんと復習するから大丈夫だよ」
そんな会話を笑いながらして、時計を見るともう7時近くになっていた。
もうこんな時間だ…。
「そろそろ帰る?」
時計を見た私に気づいてそう言った絢人に頷いて二人で部屋を出る。
部屋を出て玄関まで行くと、
「依良、来てたんだ」
「遥くん…」
お仕事の帰りなのかスーツ姿の遥くんと出くわした。



