「ごめんね絢人…。何回も説明してくれてるのに全然出来なくて…」
「…………」
「絢人の勉強もあるのに…ごめん…」
かれこれ数学だけで二時間経ってるし問題集も一ページとちょっとしか進んでない。
謝ったって絢人が困るだけな事くらいわかってるけど申し訳ない気持ちでいっぱいで…。
面倒くさい奴だと自分でも思うけど、思わず俯いてしまった。
「ごめんね…」
持っていたシャーペンをギュッと握り締めた。
「依良」
俯く私の顔を覗く様にして絢人が私の名前を呼んだ。
「そんな落ち込まなくてもさ、大丈夫だよ」
「…………」
「依良は基礎は出来てるから応用問題が出来れば完璧になるし、この範囲は難しいから手こずるのは仕方ないって」
「でも……、」
「一回理解出来れば依良なら大丈夫だと思うし、それに依良に教えてると復習になるから俺にはちょうどいいんだよね」
「絢人……」
「だからそんな事気にしないでさ、頑張ろ?」
ね?と言って笑った絢人に泣きそうになった。
迷惑かけてるのは確かなはずなのに、こんな優しい言葉をかけてくれる。
何回も何回も同じ事を聞いても面倒な顔せずに丁寧に教えてくれる。
甘えてばかりの情けない私にいつも手を差し伸べてくれる。
やっぱり絢人は朝言った通り、優しくて温かい人だ。
「ありがとう絢人、頑張る」
「ん」
「もう一回ここ、説明してくれる?」
「もちろん。あ、待って、こう説明した方がわかりやすいかも」
絢人のおかげで今以上に頑張ろうと、今以上に真剣に聞こうと、集中した。



