誰かなんて振り返らなくてもわかる。



「絢人!」


「ね、依良、さっきのもう一回言って?」


耳元で甘えるように声を出す絢人にさっきの言葉を聞かれてたんだと確信する。


聞かれたらまずい事もないけど、何となく恥ずかしい…。



それにさっきの女の子達も、男の子達も私達に注目してるし………。






「絢人っ、ちょっと離して、」


「ん?」



離れてと絢人に言おうとして後ろを振り向いたタイミングで絢人も私の顔を覗き込んで……



「…………っ!」



お互いの顔が至近距離になってしまった。






「うわっ…!」


「うわって……」


急いで顔をバッと反らすと絢人がクスクス笑っていて、腕を回されてる事で身体が密着しているからその振動が伝わってくる。