学校につくといつもの様に絢人にワッと寄る女子生徒。
そんな女子達に笑顔で答える絢人にまた黄色い歓声が上がる。
やっぱりすごいなあ。
「やっぱりすごいね、絢人くん」
私と同じタイミングで同じ言葉が聞こえて横を見れば、サラサラの黒髪に優しそうなタレ目の栞が隣に立っていた。
「栞!おはよう」
「おはよう依良!今日も絢人くんモッテモテだねぇ」
うんうん、と頷きながらしみじみと言う栞に笑みが溢れる。
「絢人がモテなかった時なんてないよ、幼稚園からずーっとあんな感じだもん」
女の子達に囲まれている絢人の方へ視線を向ける。
「ふふ、まあモテる理由はわかるよ、依良もわかるでしょ?」
「うん……」
男女に人気のある絢人はいつも皆に囲まれてた。
今だって話しかけてくる女の子を無下に扱う事をせずに話したりしている。
外見や家柄だけでなく絢人のそういう優しくて親しみやすい所が女の子にも男の子にも人気なんだろう。
それは遥くんにも言える事だけど。
「絢人は、外見だけじゃなくて内面も格好いいんだよ。優しいし面倒見もいいし、人の事よく見てるし…温かい人だよ」
絢人の事を思いながら栞にそう言うと……、
「へぇー、そんな事思ってたんだ?」
すぐそばで絢人の声が聞こえて、後ろからガシッと首に腕を回された状態になっていた。